当時私は名古屋に引っ越したばかりでした。ちょうどバブルがはじけたあとだったのですが、バブル期に計画され、日本で初めて本格的にオペラを上演できる劇場として注目されていた愛知芸術文化センターが竣工されたばかり。私はそこにチャリで通う毎日でした。
というのも、地下にクラッシック音楽のビデオやレーザーディスクの鑑賞スペースがあり、タダで借りて観る事ができたんです。ブースが15もあったでしょうか。ほとんど待つことなく使用できたので、イタリア語を始める前は暇さえあれば通い詰め、片っ端からオペラのビデオを観ていました。
オペラは麻薬に似ています。私ものめりこむまでにそれほど時間はかかりませんでしたが、
特にプッチーニのアリアを聴いて覚える快感や恍惚感は格別でした。
たとえば↓のトゥーランドット、なんど聴いても飽きないです。そして暫く聴かずにいると起こる禁断症状。これも麻薬に似ています。

オペラは総合芸術といわれている通り、歌手、指揮者、オーケストラ、舞台芸術、などなどいろいろな切り口から楽しめ、また評価もなされるわけですが、そういう意味でもこのDVDはかなりの高レベルでバランスが取れていると思います。
トゥーランドット姫=エヴァ・マルトン(パワフル!!トゥーランドットは十八番)
カラフ王子=ドミンゴ(いわずとしれたドミンゴ!同じ時代に生きていることを幸せに思います)
リュー=レオーナ・ミッチェル(上記二人に負けず劣らぬカーテンコール。彼女の声はミラクルです!!)
舞台演出=ゼッフィレッリ(こちらもいわずとしれた)
指揮=ジェームズ・レヴァイン(カルロス・クライバー的なカリスマ性はないし、オファーが来たらなんでも振っちゃいますみたいな雰囲気あるけどそれも含めすごいと思う)
劇場=メトロポリタンオペラ(今はどうかはわからないけど、金払いがいいから一流歌手はみんなメットに集結っ!みたいな・・・)
プッチーニは私が一番好きなオペラ作曲家であり、その中でもトゥーランドットは、ラ・ボエームと同じくらい好きな作品なんですけど、たとえば↓のシーンは聴くたび心が震えます。この映像も1988年のもので、日本で発売されてるDVDのステージではないようですが、DVD同様、リュー役のレオーナ・ミッチェルが秀逸です。カラフ王子役ドミンゴの素晴らしさは言うまでもなく。
うろ覚えなので間違っているかもしれませんが、DVDではカラフ役のドミンゴが、あの有名なアリア「誰も寝てはならぬ」の大事なところで声がひっくりかえってしまってたような・・・。you tubeに彼の別のステージでの映像はありましたが、それを聴いてDVDを観るとがっかりしてしまうかもしれないのでこちらには貼りません。一箇所ひっくりかえったところでドミンゴの魅力が薄れてしまうようなことはありませんが、当時私はパヴァロッティの完全無欠の「誰も寝てはならぬ」を耳にたこができるほど聴いていたこともあり、ビデオでドミンゴのアリアを聴いて「あれれっ・・・」と一瞬思ってしまったもので・・・