プライベートレッスンの想い出(1)

英語でもイタリア語でもプライベートレッスンの先生を探すのは本当に難しいと、今になって痛感するのですが、イタリア語を習い始めた当初、私はそんな悩みとは無関係でした。

というのも当時習っていたA先生の教え方がとても上手だったからです(でも実はこの後でてくるS先生も、その後に学んだ日本人のJ先生も、そしてイタリアで知り合ったL先生やR先生、現在も時々お世話になるL先生も同じくらい素晴らしい先生)。ともあれ、彼がいなかったら私はイタリア語をこんなに長く続けていなかっただろう、ということは断言できます。

そして、そのAが日本を去るときに紹介してくれた先生がSで、今日書くのはそのSのことなんですけど、彼は実はイタリア人ではないのです。でもAが「彼はイタリア人じゃないけど、そのへんのイタリア人よりよほどイタリア語も上手いし、教えるのも上手だよ」と太鼓判を押しただけあり、それはそれは密度の濃いレッスンをしてくれました。

AとSは親友でもあったのですが、教え方は全く異なります。Aは褒めて伸ばすタイプ。Sは厳しくして伸ばすタイプ。だから最初はとても戸惑いました。しかもSはリアクションも静か、というかほとんどない。どんなに上手に読めても、完璧に問題にこたえられても一度も「BRAVISSIMA!!!」なんては褒めてくれませんでしたね~。そんなのトーゼンでしょって顔はされても・・・レッスン中の彼はかなり厳しかったです。できないと時折皮肉もでるし・・・あまりの厳しさに、バス乗り継いで来て、高いレッスン代も払って、なんでこんなに嫌な思いしなきゃいけないのって腹立たしくて、いつか絶対やめてやると思ってました。

でも、そのままやめるのも悔しかったし、怒られるのも恐かったので、仕事がオフの日は何時間も予習、復習に時間を費やしました。そして次は絶対大丈夫って勇んでいくのだけど、彼の前にでると緊張してしまうのです。何時間も勉強してるっていうのが恥ずかしいくらい間違えたりどもったりで、そんな状況が数ヶ月続いたある日、ちょっとした皮肉を言われまして、こんなに頑張ってるのに、そんなこと言うなんてっ!!!って、こめかみの血管がきれそうなほど頭にきて、すぐにでもやめようと他のスクールを探したんです。

で、暫くして無事自分に合いそうな教室を見つけて、いよいよSに辞めることを伝えようと思っていたまさにその頃から、急に私を褒めてくれるようになったんです。「君はパッションがある」とか、「この問題全部間違えなかったらレッスン代いらないって言いたいとこだけど君には言わない。だってそう言ったら本当にレッスン代ただにしなきゃいけないから」とか、まあ、毎回毎回いろいろな形で褒めてくれました。別に私が辞めることを察知してひきとめようとしたわけではなく(だいいち生徒に媚びるような人ではないし)、それまでにやってきた予習、復習の効果が数ヶ月たって漸くでてきたのだと思うんです。

そんなレッスンが続くうちにSのもとからも去りがたくなり、結局すでに手続きを済ませていた別の教室と両立することになってしまいました。その頃の私は、イタリア語が好きかどうかも考える余裕がなかったように思います。というのも二つのレッスンをこなすので精一杯だったんですよね。しかも、もう1つの教室の先生もかなり絞るタイプの先生でして。。。

その後Sの紹介により私はローマの某語学学校に通うことになり、それもあって彼とはいまだに交流があるんです。

さて、下の写真は前回S宅にお邪魔した折にいただいた栞とメダルです。

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彼はアンティークなものが好きで、特に古地図や古書が大好きなんです。そしてダンテの「神曲」とバロックをこよなく愛し、バロック風の家具も自分で設計して作っちゃう人なんです。因みにこのメダルも彼のデザインで(作成もしたのかも)、栞も彼のオリジナル。

メダルは、おいとまする時に私のコートのポケットにするりと滑り込ませてくれたんです。そしてSが、あとから見てねって言うので、帰りのバスに乗ってから取り出して見たわけなのですが、ほんとうにびっくりでした。だってメダルに彫刻されてるこの人、Sそのものなんですよ。だから思わず上の写真にもぼかしを入れてしまいました(笑)。因みにメダルに書かれてるフレーズは、ペトラルカの書き残したもの(詩の一節??)だそうです。

メダルはいまでは私の宝物で、時々手にとってはずっしりとしたその重さを確認します。その重みがSからの励ましに思え、イタリア語頑張ろう!って思えるんです。

最初にA先生やS先生、またJ先生等(この3人は私が留学前に教えていただいた先生なのですけど、3人ともいまだにお付き合いさせていただいています。私のイタリア語学習にとって彼らのレッスンはまるで3種の神器といってもよいほど掛け替えのないものです)、素晴らしい先生方に出会えたのは、私がよほどイタリア語と縁が深かったからなんだって勝手に思ってます。
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by puntarellina | 2008-02-25 23:37 | 語学学習