Tradurre è un po’ tradire?

「イタリア語の手紙・Eメールの書き方」を読んでいて見つけたお気に入りの訳語があります。

Penso che l'atmofera suggestiva e il fascino di questa festa le piacerebbero sicuramente molto.

ねぶた祭りについての説明の後に続いている文章です。

本の邦訳は「(このお祭りには)幽玄な趣があり、きっと貴女の気に入ることと思います。」
これを読み、訳語の選び方が上手いなあと思ったわけです。

因みにsuggestiva/oは、辞書で調べると「魅惑的な、心を動かす」とあります(「暗示的な、示唆的な」いう意味もあります)。

一方「幽玄な」を和伊辞典で調べると、「misterioso e profondo」となっています。こちらの方がおそらく本来の意味に近い直訳になると思います。

上の文章で「幽玄な」と訳せるのは、それが「ねぶた祭り」を指しているからであり、他のものであったら別の訳語になっているのでしょう。

因みに、広辞苑で「幽玄」を調べると、「奥深く微妙で、容易にはかり知ることのできないこと。また、あじわいの深いこと。情緒に富むこと」とあります。

こういうニュアンスを他の言語で表現するのは難しいです。
翻訳という作業は、イタリア語力もそうですけれど、それ以前に日本語の能力が問われるのだということを再認識しました。

「Tradurre è un po’ tradire.」(翻訳することは、ちょっと裏切ること)と言われていますが、違う2つの言語間で、言葉のもつ背景やニュアンスを含め100%言いかえることなんて不可能なんですよね。そこが面白いところでもあり、もどかしいところでもあり、ということなのでしょうね。
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by puntarellina | 2013-03-06 10:43 | イタリア語