旅立ちの日

10年前の今日、当時住んでいた名古屋の空港からローマに出発しました。半年間の語学留学が目的でした。

夫が空港まで送ってくれて、最後にじゃあねって言って、背を向けて去っていくのをじっと見つめていたのを覚えています。絶対振り向く人じゃないってわかっててもなお、姿が見えなくなるまでずっと目で追っていたのです。

留学を決めてからは、仕事のない日は7,8時間は勉強して、その合間に家事と留学準備をして・・・

いくら夫が賛成してくれたとはいえ、目の前で留学準備をするのは気がひけたので、夫がいない間にこそこそとしていました。

そして当時は2人のイタリア語の先生に絞られてたし、実質どっちもプライベートだったから(1つはクラスレッスンだったんだけど他に生徒さんがいなくて私1人だったの)、勉強すればするほど進行が速くなり、で、ますます勉強しないといけないはめに・・・
まるで加速度が増し続ける回し車に乗って降りられなくなったハムスターみたいって思いながら勉強していました。

それでも、留学を最大限に効果的なものにするためにはイタリア語力はあるにこしたことはないと、必死でした。

私がもし受験生で、親に勉強しないとダメって言われて部屋に閉じ込められるなら、私大喜びで閉じ込められるんだけどな~って本気で考えていました。
受験生って家事とか仕事とかしなくていいじゃないですか。勉強だけすればいいなんて、どれだけ楽だろうって思ってたんです。

そんな留学準備期間の一年を過ごし、念願がかなって漸くイタリアに行ける旅立ちの日、喜んでもいいはずだったのに、何故か悲しくて悲しくて、次から次へと涙がこぼれおちてきて、気持ちが落ち着くまでパスポートコントロールに行けなかったことを覚えています。

昨日、そういえばそろそろ10年になるはずと思い、当時の日記を探して読んでみたら、出発の日の想いが切々と書かれてあって、読んでいるうちに辛くなって途中で日記を閉じてしまいました。

でも、夢にまでみたイタリア留学だったんです。

そんな泣きながら出発した私でしたが、夫がローマに来る半年後には、8キロも太って身も心も図太くなっていました037.gif

実際、夫がローマに到着して空港から電車でローマ市内に向かった後、2人で乗ったタクシーの運ちゃんに「そこじゃなくて、もうちょっと先まで行ってくれない?重い荷物もあるんだから!」とイタリア語で指図してる私に夫は本当に驚いたのでした。

当初の予定だった半年の留学は、夫の勧めもあって1年になり、さらに一度帰国後、再び渡伊したので、トータルすると1年半以上の留学(遊学)期間となってしまいました。

夫は、私のイタリア語がそれほど上達しなくてもよかったんです。旅行ができる程度のイタリア語と、おいしいレストランを2,3軒覚えてきてくれればいいなくらいだったのだと思います。

留学をさせてあげる代わりに検定に受かれ、な~んて条件を出すような人ではないの。

でも、私としては、せめてイタ検はクリアしなくてはと思っていました。その道のりはとても長かったけれど、夫への感謝の気持ちはこういう形でしか示せないと思っていたし、またその一方で自分自身を正当化できる唯一の方法でもあったのだと思います。

あの日からもう10年が経ったのかと時の流れの速さに驚いてもいますが、その一方で、この10年の間には、スランプに陥ったり、イタリア語が嫌いになりかけたり、同じ志をもつ仲間ができたり、親友と呼べるイタリア人の友人ができたりと、数え切れないほどの出来事があったことを思うと、やはり10年という月日にはそれなりの重みを感じます。第一、10年前の私には、自分がここまで深くイタリア語と関わることになるなんて想像することさえできていなかったのですから。

イタリア語はもはや私にとってはライフワークですが、さて、これからの10年、イタリア語とどのように付き合っていくことになるのでしょう。

「ひたむきに頑張っていれば自ずと結果はついてくるはず」とは、名古屋で私が通っていたイタリア語学校の先生が、留学を目前にした私にかけてくれた言葉ですが、これからの10年もこの言葉を励みに頑張っていけたらなあと思います。

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↓の画像は、フィレンツェのメルカートで撮ったもの。
私、Mozzarellaチーズ毎日食べてたら1ヶ月で8キロ太ったの005.gif
だって、当時日本円で7,80円で買えて(水牛のではないけど充分においしいの)、時にはお醤油をかけてお豆腐みたいな感覚でも食べてたんです。

でも、よかったこともあって、それは貧血が解消されたこと。一時帰国の際の人間ドックで、あまりの改善ぶりに医者に驚かれ「本当によく頑張りましたね~。どのような努力をされたんですか???」って聞かれたんだけど、「え~っと、う~っんと、強いてあげればチーズを山ほど食べて、あとは生ハムとか、いっぱいいっぱい食べて・・・」みたいな、わけのわからない回答しかできなかったのでした012.gif
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by puntarellina | 2011-01-23 12:00 | イタリアあれこれ