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Giardino dei Finzi-Contini

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去年の暮れから読んでいたジョルジョ・バッサーニ(Giorgio Bassani)の「フィンツィ・コンティーニ家の庭」を漸くのことで読了しました。

以下、カバーに記載された内容紹介文
凶暴なナチズムの嵐に吹かれ、独自の宗教や伝統によって二重に疎外されたユダヤ人一家の運命と、そのおりなす青春の光と影、生と死を描き出している。美しく純粋な愛の物語であり、フェルラーラ共同体の受難の記録であり、不信と孤独の闇に沈んでいった時代の幻滅の歌である。

悲しい物語であることは予感させるものの、実際描かれてあるのは、その時代に生きるユダヤ人としての辛さのみではなく、生きることの喜び、葛藤、また愛することの切なさやときめきであったのが素晴らしかったです。

この本は1969年に出版されているのですが、とっくの昔に絶版となっているため、数年前ネットの古本屋さんで買い求めたものでした。

実は原書はそれよりも前に購入していて何度かチャレンジしたのですが読み切れず、諦めて日本語版を購入したのです。とはいえ翻訳本もなかなか手ごわかったです。40年前の訳文ですから、さらりと読めるというわけにはいかず、またカッコ書きの注釈も多いかったので、じっくり読める時間がないと向き合えない本でした。

訳者のあとがきには、原文には外国語やラテン語、ヘブライ語、フェッラーラやミラノの方言などが使われているのだそうで、翻訳に随分苦労された様子が書かれてありました。また詩の引用なども多かったのでその翻訳も大変だったのではないでしょうか(日本語でも読んでも素敵な詩でした)。

ジョルジョ・バッサーニは大学で美学と文学を学んだらしいので、翻訳者泣かせの文章を書く人なのかもしれませんね。

となると是非原書にも挑戦したいもの。今度は日本語と照らし合わせつつ読んでみようと思います。

ジョルジョ・バッサーニは、「金縁の眼鏡」(Gli occhiari d'oro)という小説も書いています。こちらは原書を読みましたが、「フィンツィ・コンティーニ家の庭」より読みやすいように思います(といっても金縁~しかイタリア語では読んでないのでわかりませんが、少なくともとっつきやすいという意味で)。

「金縁の眼鏡」は「フェラーラ物語」というタイトルの映画になっていて、フィリップ・ノワレが主役のファディガーティ医師を演じています。

そういえば、「フィンツィ・コンティーニ~」の文中に、ファディガーティ医師の名前を見つけ驚きました。登場しているわけではないのですが医師の噂話が出てくるのです。バッサーニ自身がユダヤ系であり、フェッラーラで育っているので、どちらも実話に基づいたものであるのかもしれませんね。

一方「フィンツィ・コンティーニ家の庭」はヴィットリオ・デ・シーカが「悲しみの青春」というタイトルで映画化しているんですね~。デ・シーカの映画とっても好きなので観てみたいです♪

こちらでtrailer観れます(英語版)。
by puntarellina | 2010-01-04 15:11 | イタリアあれこれ